u僕と羽生善治の戦い


直感的に、「タンスの中に羽生善治がいる」と思った。


羽生善治は僕の命を狙っている。これも直感だ。
正確に言うと、「どちらかといえば僕の命を狙っている」ということだ。
つまり、「狙ってるか狙ってないか」といえば、狙っているということだ。わりと曖昧だ。

だけど、これは全て僕の直感にもとづいている。
だから信憑性がある。だから「こそ」信憑性がある。

問題は、「何段目の引き出しに羽生善治が潜んでいるか」ということである。
僕は羽生善治を捕獲しなければならない。
こちらから先に捕獲しなければ、逆に僕が捕獲されるからだ。

僕は「直感」という絶対的な根拠をもとに、何段目の引き出しに羽生善治が潜んでいるかの確率を算出した。僕は「直感による確率統計」を得意とする。

1段目:20%
2段目:15%
3段目:25%
4段目:10%
5段目:14%
6段目:16%

僕の直感から算出した上のデータを見れば分かるように、最も羽生が隠れている可能性があるのは3段目の引き出し。


羽生を捕獲するチャンスは1回しかない。
もし、3段目に羽生がいなかったら、僕はやられる。
僕が3段目の引き出しを開けている隙に、他の段に潜んでいる羽生が僕を刺し、バスケットボールを入れる網に僕を閉じ込めるだろう。
そして、僕はクワガタが食べ残したスイカしか与えられず、死ぬだろう。
92歳で死ぬだろう。


そもそも、なぜ羽生は僕の命を狙っているのだろうか。

僕の将棋レベルは二歩を打ってもなんらおかしくないレベルだ。
そんな弱小棋士である僕の命を羽生は狙っている。だから少なくとも、羽生が僕の命を狙う理由は「将棋の強さ」によるライバル視とかじゃない。
ひとつ心当たりがあるとすれば、僕は幼い頃将棋盤の上でハトを飼っていたことがある。
数年に渡り、将棋盤の上でハトを飼っていた。
羽生はそのことを恨んでいるのかもしれない。
僕は、将棋盤という聖地(サンクチュアリ)をハトの飼育場に貶めてしまったのだ。

考えても仕方が無い。いま、まさに羽生が僕の命を狙っていることは事実(直感的に)だ。

僕は、3段目の引き出しに手をかけた。
覚悟はできていた、なんてかっこいいことは絶対言えないけれども。


































































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